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子育て支援の拡充を求める意見書(10月12日)

ページ番号:651065800

更新日:2022年10月13日

 少子化による人口減少は、我が国において最重要課題となっている。厚生労働省が発表した令和3年の出生数は81万1,622人で、6年連続で過去最少を更新した。大田区においても平成27年の6,120人をピークとして減少傾向が続いている。
 こうした中、国や各自治体では、令和元年10月から幼児教育・保育の無償化をはじめとし、少子化対策のために、様々な対策に取り組んでいるところであるが、多くの子育て支援策には所得制限が設けられている。それにより、多様な形態のある子育て世帯において、親の所得により線引きがなされ、支援を受けられる子どもと受けられない子どもという分断が、社会的な問題として取り上げられている。今年5月に開催された政府の税制調査会の総会では、仕事と育児の両立など働き方の変化に対応した税制のあり方における議論の中で、有識者の中から「現金よりも現物給付」という見解と併せて「大きな税負担を伴うが、同時に給付を手厚くするのがひとつの解決策だ」という問題提起がなされた。
 児童手当に関しては、令和4年10月支給分から、所得制限限度額を超える世帯の特例給付が廃止されることが決定している。また、0歳~2歳の幼保無償化をはじめ、いわゆる高校無償化や大学無償化と呼ばれる各種支援制度のいずれにおいても所得制限が設けられ、そうしたしわ寄せが子どもの進路や将来の可能性を狭めることにつながりかねない。
 こうした所得制限の設定により、手当や助成なども含めた総収入額が逆転してしまう不公平な現象が生じており、働けば働くほど子どもへの給付が無くなってしまうという事態は、子育て世帯の就労意欲をそぎ、少子化をより一層促進させるおそれもある。
 令和5年4月1日に公布される「こども基本法」には「全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的扱いを受けることがないようにすること」を基本理念の中で定めている。子どもと親の人権は別のものであり、親の所得にかかわらず全ての子どもが平等に扱われることこそが我が国の最重要課題である出生数の改善にも寄与する。
 よって、大田区議会は、少子化の打開に資する効果的な子育て施策を講じるため、国及び東京都に対し、以下の事項を強く求める。

1 児童手当をはじめとした各種子育て支援策に対し、所得制限の撤廃も視野に入れ適正な再配分へと見直すこと。
2 上記の実現に必要な財源は、国及び東京都において確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定に基づき意見書を提出する。

       令和4年10月12日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 
厚生労働大臣
東京都知事  宛

       大田区議会議長

 

 

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