家庭教育コラム

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更新日:2023年10月2日

小中学生の保護者の皆様へ ご家庭で子どもと向き合うヒントをお届けします。

今回は、コラム「子どもも親も笑顔になれる子育て」をお届けします。

子どもも親も笑顔になれる子育て

諸富 祥彦    

 子育てで一番大切なことは何でしょうか。それは、子育ての「目的」を考えることにつながります。私たちは、何のために、何を目的に「子育て」をするのでしょうか。答えは、明白です。「子どもが、幸せになれるため。たんに、今の時点で幸せというのではなく、これからの人生で、幸せな人生を自分で歩んでいくことができる、そんな力を子どもの中に育てるため」です。

 親は、子どもよりも、早くこの世からいなくなります。親の心配事は、「自分がこの世からいなくなった後も、子どもが、幸せな人生を歩んでいけるだろうか」ということです。これは、親御さんの話を聴いていると、よくわかります。40歳、50歳になっても、ひきこもったままの子を思い、「私が死んだあと、この子は、どうなるのだろうか」と気が気ではないのです。一度も働いたこともなく、結婚したこともないわが子の人生が、自分が死んだあと、どうなるか。気が気ではないのです。

 子育ての目的は「しあわせな子ども」を育てることではありません。子育ての目的は、「子どもが大人になった後、自分で自分のことを幸せにできる力、自分で幸せな人生をつくっていくことができる、そのような力を子どもの中に育んでいくこと」です。すると、子育てで一番大切なことは、明白です。親が、「幸せな人生のモデル」を見せることです。

 私が、これまで多くの子育ての相談にのってきて分かるのは、「親が不幸に耐えるような、我慢ばかりの人生を生きていては、子どもも幸せになれない」ということです。親が我慢ばかりの人生を生きていると、それを見て育った子どもは「そうか、人生というのは、ただ我慢していくことなんだ」と思ってしまいます。そして実際、大人になってからも、苦労の多い、我慢続きの人生を送ることになってしまいがちなのです。

 子育てで一番大切なこと。それは、「まず、親自身がハッピーになること。ハッピーに日々を過ごすこと。その姿を子どもに毎日見せること」です。すると子どもも「そうか、人生は、楽しんでいいんだ」「ママやパパと同じように、私も幸せになっていいんだ」と感じます。言葉ではなくて、体感のレベルでそう思うようになっていくのです。一番よくないのは、親が「いつもイライラしている姿」を子どもに見せることです。「人生は、イライラするものなんだ」と子どもは体感で学んでしまいます。

 完璧な子育てを目指す必要はありません。完璧になれない親は、つねに自己否定してイライラしながら子どもに接してしまうからです。多少、うまくいかないことがあっても「なんくるないさ」(注釈1)と笑顔で流しましょう。

 人生は、思い通りにいかないことが多いものです。そんな時に「なんるくるないさ」「なんとかなるさ」と笑顔で流す姿勢を子どもに見せましょう。そうした親の姿勢が、うまくいかないことがあっても、幸せになれる力を、子どもの中に育むのです。

(注釈1)沖縄の方言で「人事を尽くして天命を待つ」という意味合い

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