おおた区報WEB版 令和2年1月11・21日号〔トップページ・特集〕

更新日:2020年1月11日

特集

工場アパートから、次のステージへ

 「工場アパート」に集う情熱と技術──。ここは、企業が成長し、次のステージへ羽ばたく場。今回は、工場アパート入居時に事業を軌道に乗せ、今も区内で活躍する企業の社長さんたちに、工場アパートで得たものとこれからの夢を伺いました。

株式会社トップウォーターシステムズ 武田龍太郎さん

ものづくりをする上で自治体との連携は重要

株式会社トップウォーターシステムズ 武田龍太郎さん

◎より良い環境を求め大田区へ
 産業用純水装置の開発・製作を行う会社として平成16年に起業した弊社は、当初新橋を拠点にしていましたが、若い社員たちが働くのに良い環境を求めて、〝ものづくり〟のイメージがある大田区で新たな物件を探しました。そして入居したのが工場アパート「テクノFRONT森ケ崎」。ここにはおもしろい社長さんたちがたくさんいて、お互い苦労話をしたり、みんなで暑気払いをしたり、地域とのつながりが生まれました。また「おおた研究・開発フェア」など区のイベントも多く、改めて大田区はものづくりのまちだなと感じます。入居中は視察の受け入れや「おおたオープンファクトリー」など区の施策との連携も積極的に行いました。

◎一年足らずで加速度的に前進
 工場アパートにいた約10年間でかなりいろいろな事ができるようになり、さらに広いスペースを求めて現在の場所に移転したのが令和元年5月。まだ一年足らずですが、新たなステージで加速度的に前進していると感じています。
 ものづくりをやっていく上で、自治体との連携は非常に大きなものがあります。弊社の事業は災害時の移動型純水装置に特化している部分があり、東日本大震災の時も南相馬市に無償で提供しました。しかし、災害時は交通が遮断されることもあるため、こうした装置は自治体や自衛隊などが配備すると有効だと考えます。
 これからも大田区の企画や防災イベントなどにも意欲的に参加したいですね。弊社のような工場があることで、近隣の方々が「緊急時にはここに来れば何とかなる」と安心できるような、地域とのお付き合いも大切にしていきたいと思っています。

海外でも通用する“日本の技術”を保つため、クリエーティブな挑戦を続ける/電気が止まっても使用できるようソーラーパネルを搭載

有限会社アキモト 秋元嘉幸さん

「大田区の宝=人材」を埋もれさせずに

有限会社アキモト 秋元嘉幸さん

◎ものは違えど同じ製造業同士
 父の代から40年以上、真空成形や圧空成形で食品容器などの型を作っています。以前は父と二人で六畳ほどの工場で作業していましたが、手狭になり移転先を探していたところ、ちょうど「本羽田二丁目工場アパート」ができると知り、申し込みました。
 同時に入ったほかの会社もみんな「一緒に何か作れたらいいね」と夢を持っていました。お互い作るものは違えど同じ製造業なので、「これ削る時はどうやる?」「こういう道具はどこで手に入る?」など気軽に相談できるメリットもありました。入居したのは20年以上前ですが、当時そこで知り合った会社の人とは今でもつながりがあります。

◎仕事以外での仲間も増えた
 工場アパートを出たのは3年前。大田区の「ものづくり工場立地助成事業」を利用し、現在の場所に移りました。ここは交差点の角で隣が駐車場なので、音を気にせず仕事ができる…おかげで夜遅くまで働く羽目になっていますが(笑)。ご近所の方が通りがかりに「秋元さん昨日遅くまでやってたね」と声を掛けてくれるなど、仕事以外でも仲間が増えました。「お宅は何を作ってるの?」という話から仕事をいただいたこともあります。
 昨今、元気な高齢者が多いですよね。退職したけど「まだまだ腕には自信がある」「機械さえあれば何でも作れる」という人、特に大田区はそうした人材の宝庫だと思うので、そういう方々に私の工場に来ていただき、機械を貸して好きなようにものづくりをしてもらう。今後はそんなこともできたらと考えています。

コンピューターの最新技術と工具での手作業を組み合わせている

株式会社ナイトペイジャー 横田信一郎さん

新しいものを生み出す若者を呼び寄せたい

株式会社ナイトペイジャー 横田信一郎さん

◎再起を図り工場アパートへ
 高校卒業後、光学機器部品の加工業を営む父の会社に入社した私は、社内事業の一つとして自動車のカスタムパーツの商品開発を行っていました。「ナイトペイジャー」という名はその商品のブランドネーム。折からの不況で会社を閉じることになった時、この名を法人化して再起を図ったらどうかと地元の先輩にご提案いただき、工場アパート「テクノWING」に入居しました。
 そこで5年間力をつけて、平成28年に現在の場所に工場を構えました。生まれも育ちも大田区で地元が好きですし、メッキを頼んだり材料を買ったりする会社が自転車で行けるぐらいの距離にあるので、このまちから離れられないですね。工場アパートで知り合った人たちとのつながりもあって、さらに「おおた工業フェア」などを通して新たなつながりが生まれることもたくさんありますから。

◎人脈をつなぐシステムを
 ものづくりには、「この人のために何かを作ってあげたい」という思いがベースにあるはずです。下請けだけではなく、新しいものを生み出す若者を大田区に呼び寄せて、我々のような経験を積んだ者が「それならこの人とこの人をつなげれば製品化できるな」という具合に人脈をつなぐシステムを作りたいと考えています。製造のための機械も、買うのは高いですが、工場アパートや地域の工場にある機械を使えば製品化する時間やコストをかなり圧縮できますよね。「大田区に来れば自分が考えているものが形にできる」と人々が集まってくる、そういうプラットフォームづくりが今後の夢です。

工場アパートから出た後は、自身のラッキーカラーのピンクを使った工場を構えた

工場アパートって?

 製造業などが入居する企業専用のアパートです!住宅化が進む大田区でも操業しやすい環境をつくるため、区は5つの工場アパートを運営しています。一見普通のアパートにも見えますが、機械も運べる巨大なエレベーターや防音対策など、企業のための設備が整っています。各企業はここで国内外へ通じる技術を磨き、さらなるステージへ羽ばたいていきます!

◎詳細はコチラ
https://www.city.ota.tokyo.jp/sangyo/kogyo/sangyou_sien_shisetsu/index.html

 


ものづくりに取り組む方へ~助成制度のご案内~

詳細はコチラ 条件などがありますので、詳細はお問い合わせいただくか区HPをご覧ください。

【制度の一例】
●大田区ものづくり工場立地助成事業
 工場の移転・新増設費用など
●大田区ものづくり企業立地継続補助事業 
 防音・防臭・防振のための改修・移転費用など
問合先=産業振興課工業振興担当 TEL03-5744-1376 FAX03-5744-1528

◎詳細はコチラ
https://www.city.ota.tokyo.jp/sangyo/kogyo/joseikin/index.html

第24回 高度技術・技能展 おおた工業フェア

第24回 高度技術・技能展 おおた工業フェア

 大田区の優れた技術・技能をアピールする展示会。専門家による講演やセミナーなども行います。新たなビジネスチャンスを見つけたい方、アイデアあふれるものづくりに興味のある方、ぜひお越しください。

日時=2月6日(木)・7日(金)午前10時~午後5時(7日は午後4時まで)
会場=産業プラザ
問合先=(公財)大田区産業振興協会 TEL03-3733-6126 FAX03-3733-6496

◎詳細はコチラ
https://www.pio-ota.jp/k-fair/24/

第24回 高度技術・技能展 おおた工業フェア

問合先

産業振興課工業振興担当 TEL03-5744-1376 FAX03-5744-1528

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