おおた区報WEB版 令和4年1月1日号〔トップページ・特集〕

更新日:2021年12月28日

(注釈)撮影時のみ、マスクを外しています

特集

困難を克服し夢・未来へ希望あふれる一年に

困難を克服し夢・未来へ希望あふれる一年にについての画像 明けましておめでとうございます。区民の皆さまには、新しい年を健やかにお迎えのことと存じます。
 昨年は、八月に新型コロナウイルス感染症による区内新規陽性者数が一週間で1,800名を超えるなど記録的な感染拡大が見られました。緊急事態宣言の度重なる延長により不安な日々が長期にわたっておりましたが、区民の皆さまの感染対策やワクチン接種の急速な進展などにより、陽性者は減少傾向となりました。この間、緊急での医療対応やワクチン接種、地域でのワクチン接種予約支援など多くの方々にご尽力いただき、心より感謝申し上げます。行政の力だけでは対応が難しい場面もあり、まさに区の「地域力」を結集して行えたものと考えております。
 一方で、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のように、日本中が元気づけられることもありました。今回の新年号では、夢に向かって挑戦し続ける方々にお話をお聞きしました。幾多の困難を克服しながら挑戦し続ける姿勢は、私自身、大変勇気づけられました。区としてもこうした方々を引き続き応援してまいります。
 感染症との闘いは続いています。この危機を乗り越えて、ポストコロナ社会に向けて、皆さんが明るい夢や希望の持てるまちづくりに全力で取り組んでまいります。
 この一年が、皆さまにとって明るく、幸多き年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

おおたから目指す夢2022

おおたから目指す夢2022についての画像

新年号特集 おおたから目指す夢

 夢に向かって懸命に取り組む姿。私たちはしばしばその姿に魅了され、元気づけられます。今回は、“おおた”から夢に向かって懸命に取り組む企業、アスリートにお話を聞いてきました!

“宇宙に住む”という夢をビジネスに

“宇宙に住む”という夢をビジネスにについての画像

株式会社 OUTSENSE(アウトセンス)
代表取締役 髙橋鷹山(たかはしようざん)さん(左)、アルバイト 永井翔真(ながいしょうま)さん(右)

株式会社 OUTSENSE(アウトセンス) 平成30年設立。令和2年から本羽田二丁目工場アパートに本社を移し事業展開。「折り工学」による技術開発・サービス提供など

「宇宙に住むという夢」から開発された「折り工学」

髙橋さん 弊社は「折り工学」と呼んでいる折り畳みの技術を用いて、世の中の課題解決に取り組んでいます。「折り」と光、「折り」と音など、「折り」の利点をさまざまな要素にかけ合わせて新しい技術を生み出し、より良い暮らしを目指す提案をしています。最終的な目標は“宇宙での居住 ”で、そのための研究・開発の一環でもあります。
 宇宙での建築を考えたときに、地上で作ったものを検査して持ち込み、そこに居住するのが一番安全だと考えます。ただ、ロケットに積載できる大きさには限りがあります。そこで、人が住める大きさにするには構造物を畳んで小さくして持っていけばいいのではないかと。それが「折り」開発への入口でした。ものを折ることで強度を高め、コンパクトにもできることは利点ですよね。

おおたを選んだのは「ものづくり」のまちだから

おおたを選んだのは「ものづくり」のまちだからについての画像髙橋さん 事業展開する上で、やはりものづくりのまち、町工場がそばにある土地で開発したいと考えていました。ちょうど大田区の「スタートアップとものづくり企業の連携創出実証実験事業」で課題解決のアイデアを募っていて、そのうちの国内企業1社に選んでもらいました。それがきっかけで製品開発の際にサンケイエンジニアリング(区内企業)の土場さんとマッチングしてもらったのはいいご縁でした。半年くらい製品開発を議論しながら進めたこともあって、土場さんの近くで活動したいと思い、おおたでやっていこうと決めました。今も同じ工場アパート内のご近所さんとして、よく相談にいきます。ものをつくるという点でも、具体的なアイデアや経験に基づいた知恵は、ベンチャーが加速する上で欠かせません。そんな環境にあることがうれしいですね。

夢を語れば仲間が伴走してくれる

髙橋さん 宇宙に住むという構想は、受験生のころに読んだ建築関連の本がきっかけです。大学に入って宇宙建築を一緒に学ぶ仲間を募り、学生団体を立ち上げました。研究を続け、どう実現させていくかを考えながら起業し、今に至ります。永井君は学生団体を運営しているときからのつながりで、もう5年くらい伴走してもらっています。

永井さん 髙橋社長が起業して走り始めたころに学生団体の運営をするようになりました。メンバーを増やして宇宙建築事業の研究を進めていて、次世代に引き継げるようにもしています。春からはOUTSENSE(アウトセンス)の社員として事業により深く携わっていく予定ですが、正直、不安がないと言ったらうそになります。大手企業のようにこれまでの蓄積やノウハウがあったり、上司や先輩から直接教えてもらえたりするわけではありません。でもベンチャーだから自分が学んだ分だけ自分も企業も成長できる、そういう経験は大手企業に技術職として入ったらできないでしょう。幅広く動けるのがベンチャーの強み。宇宙で実際に住みたいという強い思いに共感してくれる人が社内に何人もいるということが、常に前向きに進める原動力です。

やりたいことを語り続けていたら、実現への道が見えてきた

やりたいことを語り続けていたら、実現への道が見えてきたについての画像髙橋さん 宇宙居住に向けて一直線に行けるかというと、そういうわけではありません。人々の意識、文化づくり、資金調達、技術開発など課題はたくさんあります。しかし、やりたいことは誰かに話してみることが実現への第一歩。声に出すと、本当に自分はやりたいのだという覚悟が芽生え、道筋も明確になってきます。もしやめると判断しても、考えた上でやめるのだから、何もしなかったのとは全く違う。話すことによって、変わっていると思うようなことでも面白がってくれる人はいます。やってやろうと前に進む自信にもなると思いますよ。

株式会社 OUTSENSE(アウトセンス)の技術アドバイザー
おおたで働く仲間を応援します

おおたで働く仲間を応援しますについての画像サンケイエンジニアリング 株式会社
代表取締役 土場義浩(どばよしひろ)さん

 私たちは「ものづくりの総合窓口」。お客さんが困っていることを一緒に悩み、町工場と連携して解決します。自身で製品を作らないけど、作り手のプロが大田区にはいるので、製造は他社に任せ、試作開発を行っています。また、私たちの主な業務の一つにベンチャー企業支援があります。私自身も創業時は裸一貫で始めたので、ベンチャーの気持ちがよく分かります。そこで、私なりに何か役立つことはあるのかなと思った中で、OUTSENSE(アウトセンス)と連携して製品開発をする機会がありました。髙橋社長には、事業として、実業家として伸びてほしいなという思いしかありません。前向きな気持ちと自分自身で製品を作りたいというバイタリティーにあふれている髙橋社長。それを応援できる環境が大田区にはあります。OUTSENSE(アウトセンス)には、次世代のものづくりの「町工場連携型ベンチャー」の一つのアイコンになってほしいと期待しています。

今の自分、ここにいる自分 夢に向かうためにできること

今の自分、ここにいる自分夢に向かうためにできることについての画像

W(ダブル)リーグ(女子バスケットボール)
東京羽田ヴィッキーズ 本橋菜子(もとはしなこ)選手

本橋菜子(もとはしなこ) バスケットボール女子日本リーグ・東京羽田ヴィッキーズ所属/東京2020オリンピックバスケットボール女子日本代表・銀メダリスト。大田区民栄誉賞受賞(令和3年)

「大丈夫、きっとうまくいく」

「大丈夫、きっとうまくいく」についての画像 東京2020大会は、さまざまな意見がある中での開催でした。そこで改めてスポーツが持つ力の大きさを感じ、人生の中で本当に忘れられない特別な経験となりました。私自身、大会8か月前に負ったけがからの復帰という大きな課題があり、一生に一度あるかないかの自国開催のオリンピック出場という夢を、可能性がゼロではないのに諦めたくありませんでした。けがを負ってからの半年間、これ以上頑張れないくらい、やれることは全てやったつもりです。一日一日、後悔のない日々を送ってきたので、どんな結果でも受け入れられたと思います。毎日部屋を出る前に鏡の前に立って「大丈夫、きっとうまくいく」と笑顔をつくりました。今までの競技人生を振り返り、数々の大変な場面を乗り越えてきたことを自信に変えて「今回も大丈夫だよ」と自分に言い聞かせていました。

地元おおたの声援が大きな力に

 東京羽田ヴィッキーズ所属以降は、いかにW(ダブル)リーグで上位チームに食い込んでいくかが目標でした。初めて日本代表に選ばれた時は「まさか私が」と驚きましたが、捨て身の覚悟でトップレベルの人たちから学び、吸収していきました。
 私にとって応援してもらうことが一番の元気の源です。代表に選ばれる前からずっと声をかけてくれている地元の方々からの応援は、とても力になりました。
 いまだにオリンピック銀メダリストの実感はないのですが(笑)、メダリストとしての自覚を持って行動を意識し、自分もスポーツ選手として人を元気づけられる存在でありたいです。

自分と向き合って未来を(ひら)

 自分が置かれた状況で自身と向き合い、“今”、精いっぱいにやれることをやる。その積み重ねが未来を(ひら)くのだと信じています。迷ったら「これは何のためにやっているのか」と立ち止まり、大切にしているもの、成し遂げたいものは何かを思い出すようにしています。私の将来の展望は東京羽田ヴィッキーズがベスト8以上に進出すること。皆さんも大変なことや苦しいこともたくさんあると思いますが、私も頑張る人の勇気や希望の源となれるよう頑張ります!一緒に夢に向かっていきましょう!

目標を達成するまでやめたくない 目指すは2年後のパリ大会

目標を達成するまでやめたくない 目指すは2年後のパリ大会についての画像

パラ陸上
視覚障がい全盲クラス(走幅跳・100メートル) 髙田千明(たかだちあき)選手

髙田千明(たかだちあき) パラ陸上(走幅跳・100メートル)・T11(全盲)クラス、ほけんの窓口グループ 株式会社所属/2017年世界選手権銀メダリスト、リオ2016・東京2020パラリンピック日本代表。萩中小学校出身

悔しさが残った東京大会

 昨年の東京2020パラリンピック走幅跳では、前日練習で4メートル90センチメートル跳べたのでメダル圏内だと送り出してもらいました。でも本番で前日とは違うと思っているうちに6本全て跳び終わってしまいました。「日本記録更新(4メートル74センチメートル)で5位入賞、おめでとう!」と言われても私が欲しいのはこれじゃないと悔しさでいっぱいでした。自己ベストを伸ばすことができましたが、選手全体のレベルも上がっているので、2年後のパリ大会で5メートル跳べてもメダルを獲れるのかどうか。願わくば5メートル跳んでメダルを獲って帰りたい。今後はアジアパラ大会(中国)、世界パラ陸上(神戸)があります。そこで記録を伸ばし、次のパリ2024パラリンピックでメダルを目指します。

コーチとの信頼関係と周りの応援が原動力

 大森(おおもり)盛一(しげかず))コーチはコーラー(注釈)・伴走者も兼任してくれています。全盲の私には、試合に出るときも練習するときもコーラーや伴走者が必要です。タイムや数字に指導の成果が出てくるので、ついていけば大丈夫だと信頼しています。また、いろんな人に「競技をよく続けられますね」と言われますが、目標達成するまではやめたくないのです。「頑張っている人を見ると自分も頑張れる」と言われると、中途半端に終えることはできないなと。大勢の人が見て応援してくれる、その重みをエネルギーに変えて挑戦し続けています。
(注釈)コーラー:踏切位置付近で、声や音を出して選手を踏切エリアに導く競技アシスタント

ひとりごとでもいいから声に出す

ひとりごとでもいいから声に出すについての画像 大田区の皆さんってあったかいですよね。私は羽田出身ですが、ちょっと下町っぽい飾らないやさしさが残るまち。仲間を大事にする土地で育ったので、自分が誰かにできることがあればやりたいと思っています。
 私は陸上を終えても柔道やカヌーなどスポーツを続けたいです。そう言ったら、陸上を始めた時のように情報やご縁が集まってきました。黙っていては誰にも知られず終わるかもしれない。したいと言えば小さなことでも誰かが教えてくれる。自分は進むだけ。ひとりごとでも声に出すのは夢への第一歩ですよ。

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