「学芸員イチオシの一品!」第3弾のご案内

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更新日:2020年5月28日

「学芸員イチオシの一品!」第3弾

 第3弾の公開です!
 大田区立郷土博物館には、開館以来収集してきた多くの資料が保管・展示されています。
 ここでは、考古・歴史・民俗という各分野の学芸員がオススメする資料を取り上げて、資料が持つ魅力や見どころについて紹介します。

[注意]資料の画像の二次利用や無断転載は固く禁じます。資料や画像のことにつきましては、大田区立郷土博物館までお問い合わせください。

【考古】十二天遺跡(中央八丁目) まるとも

テキスト 十二天遺跡 丸鞆
十二天遺跡 丸鞆

テキスト かたい復元図
かたい復元図

 奈良~平安時代初頭の役人が、革のベルト(かたい)につけた飾りの一部です。かたいの飾りは丸鞆、巡方、鉈尾、鉸具から成ります。この丸鞆は銅に黒漆を塗った「烏油腰帯(くろつくりのこしおび)」の一部で、孔が細長い平安時代初頭頃のものです。
 律令国家は、役人を位階という国内共通の等級で序列化しました。儀礼等正式な場での服装も位階に応じて決まり、烏油腰帯は六位以下の比較的下級の役人のものでした。
 本遺跡では掘立柱建物址や井戸址が発見され、地方支配の末端を担う役所的な場と推定されています。
[考古担当:林正之]

【歴史】ガス橋人道橋拡張に関する協議参集依頼(昭和7(1932)年7月11日)

テキスト ガス橋人道橋拡張に関する協議参集依頼
ガス橋人道橋拡張に関する協議参集依頼

テキスト ガス橋(昭和11年頃)
ガス橋(昭和11年頃)

 ガス橋は、昭和6年9月東京瓦斯株式会社が下丸子(東京都大田区)と上平間(神奈川県川崎市)の間に通したガス管の隣に幅1m程の人道橋(歩道橋)を付設することで完成しました。
 本文書は矢口町長の平川壽太郎が歩道橋の拡張に関する川崎市側との協議への出席を小宮半右衛門(町会議員)に求めたものです。ガス橋は昭和35年6月に自動車も通れる橋へと架け直され現在に至りますが、橋の拡張は歩道橋架橋直後より要望されていたことが本文書よりうかがい知れます。
[歴史担当:築地貴久]

【民俗】富士講の御焚上用箱

テキスト 御焚上用箱(大正8(1919)年2月新調)
御焚上用箱(大正8(1919)年2月新調)

テキスト 羽田木花講社のお焚き上げ(『大田区の文化財第12集 大田区の民間信仰(念仏・題目・諸信仰編)』より)
羽田木花講社のお焚き上げ(『大田区の文化財第12集 大田区の民間信仰』より)

 富士講は富士山を信仰する有志の集まりで、江戸時代中期以降は「江戸八百八講」と称されたほど爆発的に流行しました。かつては大田区内にも富士講が組織され、12の講が東京湾や多摩川の沿岸部、内陸の台地部に展開しました。富士講の主な活動は富士山へ参拝に行くことですが、地域でも毎月の「拝み」(皆で祈りを捧げること)を行いました。
 本資料は、羽田で活動した「羽田木花講社」が使用した銅製の御焚上用箱です。富士講の「拝み」では、箱の中に線香を積み上げて燃やし、白紙の燃え方で吉凶を占う「お焚き上げ」も行ったと言います。
[民俗担当:乾賢太郎]

お問い合わせ

大田区立郷土博物館

大田区南馬込五丁目11番13号
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